カヤックで楽しむリバーバッシング
(SFN12月号掲載分)


皆さんは川を見る目を備えていますでしょうか?川の流れと言うのは実に複雑で、まずはそれらを充分に理解することがとても重要なんです。川幅と流れの関係、深くなったり浅くなったり、それによって流れが早くなったり遅くなったり、もちろん地形によっても変わってきますし、流心と周辺部では流れの圧力も違います。深い所だけで流れているような場合もありますし、場合によっては逆に流れていたりすることもあるでしょう。難しいですね〜。とにかく川は生きてます。それを上手く感じ取り、対処しなくてはいけません。自分の場合、海のない県「岐阜」の生まれですから、小さな頃から川で遊び川で釣りをしてきましたのでいろいろなことが分かっているつもりです。つもりです・・・。

川のカヤッキングは流れを知り、流れをうまく利用すればいいんです。
そうすれば、むしろ静水域よりも楽に釣りができるでしょう。

さて、そんな川でカヤックの釣りを楽しむには大まかに二通りの方法が考えられるでしょう。まず一つは、上流から下流に下るだけの釣り方。つまり、あらかじめ上陸する場所に車を置いておき、もう一台の車で上流に行って、そこから下って釣りをすると言う方法です。フローターなんかでもこういった方法を利用している人は多いでしょうが、とにかく楽チンです。車に余裕があるのならこうしたいですね。そしてもう一つの方法はカヌーの機動力を生かして、上って下るのくり返しで楽しむ方法です。もちろんこの方法だと急激な流れだと対応しきれないでしょうし、魚のほうもどこまで急な流れに耐えうるのか分かりませんから、それぞれの経験に基づいて判断しなければいけません。まあ、どのみち川を下りながら釣りをすることになりますから、むしろ静水よりも快適に釣りが出来るのです。多分皆さんにも容易に想像できるでしょうが、釣りをする速度と、川の流れる速度が仮にぴったり合うような場合には、ほとんどパドリングをしなくてもいいのです。艇の向きだけを調整すればいいんです。分かるでしょ?とにかくコレは快適です。そんな時は(図1)のように艇を岸側に向けて、川の流れを充分に横方向から受けながら釣りをすればいいでしょう。

さあ、問題なのは流れが早めの時です。あっと言う間にポイントが過ぎ去ってしまいじっくりとは釣りが出来ません。まあ、「一投必釣」「ミスキャストが許されない釣り」もハラハラドキドキ・・・ダイナミックで面白いですが、こんな時に役立つのが艇のバウを上流方向に向けて逆さに下る方法でしょう(図2)。もちろん下流方向に障害物がないことが前提条件となりますが、こうすることによって前向きの時と同様に艇が安定し、かつ、ちょっと打ち損じた時なんかには、瞬時に流れに逆らって漕ぎ出すことも出来るのです。分かりますでしょうか?流されながら「ドリフトフィッシングをする」→「漕ぎ上がる」への切り替えがよりスムーズに出来る訳です。仮に艇が前(下流方向)を向いていたなら、まずは艇の向きを180度回転させ、その後パドリングを開始し漕ぎ上がらなければならないのです。ちなみにこの方法・・とりわけ、右利きなら上流に向って左岸を打つにはもってこいでしょう。

以上、総合的に見ても川の釣りは、上手く流れを利用すれば止水域よりもパドリング回数が減り、実に都合がいいのが分かっていただけましたでしょうか。もうこれはやめられません。先日は、荒川の支流の入間川に行ってきましたが、ちょっと増水気味で流れが多少強かったにもかかわらず快適なリバーバッシングを楽しむことが出来ました(写真)。約1キロ半を上って下るの2セット半・・・とてもいい運動にもなりました。上半身の肉のたるみが気になるアナタ、釣りを楽しみながら体を鍛えることも出来るんです。そろそろどうですか?カヤックフィッシング・・・。

入間川のバスは、流れの中で育っているだけあってよ〜く引きました。