さあ漕ぎ出そう“How to パドリング”
(SFN7月号掲載分)


前回は、漕ぎ出す前の最重要課題“乗り方について”のお話をしましたが、いよいよ今回は実際にフィールドへ漕ぎ出すに当たってのパドリングの基本をお話させていただくことにしましょう。

さて、カヤックに用いるダブルブレードのパドルは、まさに読んで字の如く両サイドにブレードが付いているタイプのパドルでして(一方のカナディアンカヌーにはシングルブレードパドルを使用します)、艇の左右で漕ぐように出来ております。最初にパドルのもち方は、参考図の通りシャフトを頭の上に載せた状態で、両肘が直角になる角度で握ります。まあ自然に握れば自然とコレくらいの間隔になるでしょう。また、これ等のダブルブレードパドルは、漕ぐ時に反対側のブレードが風の影響を受けにくくするために、左右に90度の角度でよじれている構造になっており、その為左右均等に漕ぐには多少の慣れを要します。まずは利き手側のグリップをしっかり水を掴む位置で固定し、設定すること。そして反対側のブレードで水をキャッチする時には利き手のスナップを返し反対側のブレードで水を捉えるようにするのです。分かるかな?ただし、2ピース構造のパドルに関してはこのよじれ角を0度に設定することも出来、パドリングメインで楽しむわけではない我々釣り人にとっては、こうしてよじれ角0度で使用するのも有りだと考えられます。またこれ等はワンタッチで変更が出来ますので、時に長距離移動する場合のみブレード角をつけて対応するのも釣りならではの使用法と言えましょう。あとは、とにかく左右均等に漕ぐことです。どちらか一方にのみ力が入ってしまうと、すなわち艇は逆方向に曲がっていってしまうのです。まあ、最初はまっすぐ進むことを考えずにまずは水に慣れることが大切だと思います。最初は力任せに漕がず、ゆっくりと力を入れ、左右交互に徐々に力を入れていけばいいのです。コツとしては、艇のバウ(先端部)の動きに惑わされないように、視線を目標に向けて遠目に置くこと!スキーやスノボでも一緒ですが、目線が近いとかえって安定感を欠くことになるのです。

ココでおさらい。一連の動作を順に説明させていただくことにしましょう。

1、右腕(利き手)をいっぱいに伸ばし水を捉える。

2、右のブレードを引き寄せると同時に左手を前方に押し出す。
引く力より押し出す方に力を入れるという力配分がキモです。

3、右の手首を返し、左ブレードで水をキャッチする。

4、キャッチした水を的確にブレードで捉え右腕を前方に押し出す。

5、以上、そのくり返しとなります。

尚、ブレードで水を漕ぐ時は、艇の横を直線に近い軌跡で漕ぐこと。大きく外側を漕ぐと艇は曲がりやすく反対側に振れてしまいます(図参照)。また、艇の足元には“フットブレイス”という、車で言えばフットレストのような足置き場があり、コレにより踏ん張りが利くようになるのです。自分の体格に合わせてあらかじめ調節しておくことも重要です。

基本中の基本“フォワードストローク”(前進)分かりましたでしょうか?まさに全てはここから始まりますのでしっかりとマスターしましょう。とは言え我々釣り人は常に漕ぎ続けるわけではありません。時には漕ぎ、時には休み、艇の向きを整え、惰性で進みながら釣りを楽しみます。なので、釣りをすることに関してはしっかりとしたストロークよりもパドルの出し入れによる艇の調整・方向付けの方が重要になってくるでしょう。もうこれに関しては一定のルールなどはありませんので説明のし様も有りませんが、自分なりのベストな方法を見つけるしかないでしょう。基本は基本!覚えておいて損はないということです。