入水する前に・・・。
(SFN5月号掲載分)


フィールドでのHow to は次回から始めることにして、まず今回は入水する前に心得て置かなければいけないことをいくつかお話させて頂きましょう。

さてさて、突然始まった「カヤックで楽しむトップウォーターゲーム」ではありますが、さっそく多くの方が興味を示されているようで、色々な声や質問が自分の所へ届いております。そこで最も多い質問はといいますと、やはり「カヤックって転覆しないんですか?」という声でして、まずはその点からご説明させて頂きます。最初に結論から言いますと“もちろん転覆します”(断言)これはカヤックに限らず、いわゆる普通のカナディアンカヌーにも当てはまることでして、さらには転覆しなくともアルミボートだって落水の危険はもちろんある訳で、その点はしっかりと認識して頂きたいと思います(なので必ず救命胴衣は必ず付けてくださいね)。さて、じゃあ転覆したらどうするの?という問題になります。きっと多くの皆さんが勝手にイメージしているのは、リバーカヤックの「ロール」でのリカバリー(水中からパドルを使ってクルッと復活する奴です)を想像していると思うのですが、これはそもそも“スプレイスカート”(写真参照)と言う、艇内に水が入らないような装備をした状況で必要となる技術であり、それを利用しない我々には必要のないことなのです。もし仮に転覆したとしても、スカートをつけてない分すぐに脱出できる訳で、もがかず焦らず行動するのみ!何も特別な技術は必要ないのです。でもって、安全な岸辺に移動し最乗艇すればいいだけの事です。分かりましたか?とにかく、スイスイと機動的に動けて、コンパクトで、かつ安定性が高い・・・なんて都合のいい乗り物はありません。安定性と機動性能は相反する物です。その点はご理解のほどを・・・。


これがスプレースカートといわれている水の浸入を防ぐ装備です。
リバーカヤックでは確実に必要な装備ですが、我々には必要のない物と言えましょう。

次に、多かった質問はと言いますと、「どこでも艇を出せるのか?」と言う質問です。これは基本的に普通のアルミボートなどと一緒でして、ほとんどの河川や湖沼で航行可能です。もちろん船外機もつけておりませんしパドリングのみとなると免許も必要ありません。しかしです。ダム湖など人造湖等に関しては管理者がおり、それぞれで扱いも異なり、一切の水面に浮かぶものを受け付けないという所もあります。また、一部制限を設けて釣り人やカヌーイストに解放している場合もあります。もうこれに関しては個々人でダム事務所や管理者に確認するしかありませんね。例えば、富士五湖(自分の場合、西湖で艇を出したことがあります)では入漁量を払えばカヌーを出してもOK、もちろん釣りをするのもOKとのことでした。一方、丹沢湖に関しては、ダム事務所で所定の手続きをしゼッケンを預かり、決められたボート屋さんから艇を出すことが許可されますが、残念ながらそれで釣りをすることは許されません。要するにボート屋さんとのからみもあるんでしょうね。また、芦ノ湖に関してはボート屋さんもあるのですが、朝の8時半から受付をし(水産センター)申請することにより(500円かかります)カヌーに乗ることも、釣りをすることもOKなのです。とにかくしっかりとした事前確認が必要でしょう。まあ、そんな感じでして、総合的に見るとやはり河川がもっとも制限がなく問題なく釣りも楽しめるようです。ただし、自然をなめちゃいけません。川は生きてます。天候の急変による増水、人工的な堰など、そこには危険がいっぱいあります。心してくださいね。


丹沢湖にて、申請登録ゼッケンをつけているときの写真です。
本来釣りは出来ませんが、この時は特別に許可を貰って写真撮影用にロッドを持っていきました。

さあ、次号からはいよいよフィールドに出て、具体的に写真を交え説明して行きたいと思います。まずは入水のし方から説明させて頂きます。お楽しみにm(__)m