「アクションさせる楽しみ!」
(SFN8月号掲載分)

今でこそ、多くのハンドメイドプラグが存在し、ありとあらゆるカテゴリーの多くのトップウォータープラグが存在しますが、ちょっと前までは、それこそヘドンとその他いくつかのルアー・・・という具合に、それほど多くのトップウォータプラグは市場にありませんでした。ですから、現行品で買える物をひとしきり使うと、新しい刺激を求めオールドルアーに走ったのは、実に自然な成り行きだったのです。なんとそこには未知のルアーがゴマンと存在していたのです。リールのお話のときにも触れましたが、この約半世紀前の時代というのは、まさに激動の時代で、ありとあらゆるものが創造され、試行錯誤を繰り返していた時代なのです。実に面白い!ほとんどのアイデアがこの時代に出尽くしたといっても過言では無いでしょう。現行のルアーであれば、そのルアーのカタチを見ればある程度そのアクションが想像できるのですが、コレばっかりはそうは行きません。見たこともないその変てこなルアー達は、いったいどんな動きをするやら全く見当が付かないのです。まさに、未知との遭遇!こんなにわくわくする事はありません。もうそうなると使ってみない事には分からないのです。全く動かないもの、いとも簡単に動くもの、動かすのにかなりのコツを要するもの・・・すべてのルアーに味があるのです。その特徴をつかみ、的確に使用できるようになってこそ、やっとそのルアーを本当の意味で知った事になるのではないでしょうか。やっぱ道具たるもの使ってナンボ!コレクションする楽しみももちろん理解できますが、眺めて楽しむだけじゃもったいないと思いませんか?だからウン万もするルアーを惜しげもなく使ってしまうものなのです。紙の上での資料によって分かるのは、うわべのスぺックや年式くらいの物・・・ぜひ勇気を持って使っていただきたいものです。

ただし、オールドルアーを使うにあたってはいくつかの注意事項と覚悟が必要です。まず最初に、「形あるものはいつか・・・」という、覚悟を持っていただくことです。もちろんルアーを使う事によって傷も増え、汚れたりもして、その価値は下がっていくのです。アメリカ人に言わせれば「大切な文化遺産を使うとは何事か!!」ということらしいのですが、ここは日本。気にすることはありません。とにかく覚悟を決めてください。さて、覚悟を決めたついでに開き直って、ルアーに手を加えるというのも一つの手です。塗装のはがれやクラックが激しくなってしまったというのであれば、それ以上の破損を防ぐべく、リタッチやリペイントを施し予防するのも一つの手でしょう。もうそこまですると、オールドルアーとしての価値はぐんと下がってしまいますが、自分がこの先ずっと愛用し、使い倒すのであれば問題もないでしょう。まあ、このへんの判断は人それぞれですから、じっくりと考え道具と付き合って行っていただければと思います。

最後に、手を加えることなく、なるべくダメージを与えないようにするコツをお教えしましょう。それは何か?スバリ、使用する時間に制限を設けることです。簡単に言えば15分〜20分も使用したら、使うのをやめ別のルアーに交換すること。これを守れば、さほど大きなダメージは残らない事でしょう。とりわけ、ウッドルアーに関してはこの作法を守るだけでかなり違いが出ると思います。間違っても一日中オールドルアーを使い倒さない様に・・・。ちょっとしたクラックから水分を吸収し、膨張して取り返しの付かない事になってしまうやもしれません。お気をつけて!限られた時間の中で結果を出す、というのもなかなかスリルがあって良い物ですよ。あとは、幸運を祈るばかりです。


いくつかのオールドルアーの写真を載せましたが、これら全てのアクションが想像ついてしまうというアナタ!
居るとしたら、そんなアナタは天才でしょう。多分・・・。