「やり取りする楽しみ」(=かけひきを楽しむ)
(SFN6月号掲載分)

さて、前回はキャスティングする楽しみを紹介しましたが、もちろんクラッシックタックルの楽しみはそれだけに留まりません。それは何かというと、大きな魚を掛けたものだけに与えられる、選ばれし者への最大のプレゼント・・・「やり取りする楽しみ」なのです。もちろん、どんなタックルを使おうが、釣りという行為のクライマックスである事に間違いありませんが、クラッシックタックルを使う事によってよりそのかけひきが楽しめるのです。じゃ、何が違うのか・・・?もう全てがハイテクタックルのそれとは違うのです。とりわけダイレクトリールに関しての話になりますが、もちろんの事ハンドルが逆回転するわけで、いまどきのタックルのようには行きません。ハンドルから手を離せば勝手にラインが出て行ってしまうのは当たり前で、初めて大物のバスをかけた際には多くのアングラーが「フッキングバックラッシュ」(フッキングした勢いでハンドル逆回転の、もじゃもじゃ・・・ノー!ということです。)という憂き目に遭ってしまうものです。いまどきのタックルじゃこんなのあり得ないでしょ?まあ、運が良ければそのままバスが付いてたりもしますが、ほとんどの場合はコレが原因でバラシということになってしまう事でしょう。でも、これを道具のせいにしてはいけません。断じていけません!全て自己責任で、自分がしっかりと道具をコントロールし、支配していれば全て上手くいくものなのです。そもそもドラグも無いですから、ドラグが緩かったりきつかったせいでもなく、自分のせいなのです。

さあ、ではどうしたら良いのか?キャスティングの時には右手親指がサミングに大活躍したのですが、今度は左手親指の出番です。写真のようにスプールをすぐさま抑える癖をつければいいのです。もちろんアクション中とかは従来使ってたタックルのようにリールエッジをホールドするカタチで使用するのですが、フッキングする時などは瞬時に親指をスプールに添えるのです。最初は難しい様に思えるかもしれませんが、何のことはない、慣れれば一連の動作として何の違和感もなく出来るようになるのではないでしょうか。これがダイレクトリールを使う上での作法なのですから身につける以外方法はないのです。多少の苦労はあるかもしれませんが、この作法を身につけたとき、アナタは究極のドラグを手に入れたことになるのです。これ以上信頼をおけるドラグはこの世には存在しません。

こんなタックルで60アップでも釣ったらどうなってしまうんだろう・・・想像するだけでドキドキしてしまいません?
親指が摩擦熱で大やけど・・・なんて事もあったりして・・・。

またこの親指ドラグ(そう呼ぶ事にしましょう)には、やり取り以外にも重要な意味があるのです。常にギア・ハンドルが直結されているダイレクトリールの場合、親指ドラグを使わないとギアやハンドルに直接大きな負荷がかかり、あまりよろしくないのです。その負担を軽減させるという意味でも、この親指ドラグが一役かっているんですね。特にダイレクトリールのハンドルというのは、キャスト時に回転しキャスタビリティーに大きく影響するため、極力軽く、こじんまりと作られているということもあり実に曲がりやすいんです。写真の様にノブが曲がってしまうのは当たり前、ひどい物はプレートまでグニャリと逝ってしまったりします。そんなトラブルを避けるという意味でも実に効果的なのです。


ハンドルノブが、巻き方向にグニャリと曲がってるのが分かりますか?

これら全ての作法を身につけたとき、その時には心底バスとのやり取りを楽しむことが出来るのです。異次元空間のパラレルワールド・・・??アナタも体験したくありませんか?使ってみない事には分かりません。健闘を祈ります。