オールドグリップにまつわるお話
（ＳＦＮ６月号掲載分)

お店の引越しやら何やらで、勝手ながらしばらくお休みを頂いてしまい大変申し訳ございまさせんでした。そうこうしている間に“２００４シーズン”にも突入し、気持ちも新たによりコアな情報を提供できればと考えております。ここまで、クラッシックタックルに関する基本的なことをお話してきましたが、これからは細論と言うか、一つ一つのアイテムごとにさらに掘り下げた内容をお伝えしていこうと思っております。で、今回取り上げるのがグリップ。ロッドのグリップです。


とにかく色々な素材、種類のグリップが存在します。
そのままでは使えなくとも、ちょっと手を加えるだけで、
唯一無二のオリジナルグリップが出来てしまうのです。

さて、脱着式のグリップというと最初にチャンピオンタイプのフェザーウェイトグリップを想像する人が多いでしょう。確かに、脱着式グリップの最終的なカタチといっても過言ではないでしょうし、実に多くの個体が出回っているのも事実です。しかしそこに行き着くまでには色々なタイプのグリップが生まれては滅びを繰り返し、写真の通り星の数ほど(大げさか･･･)のデザイン、材質、機構の物が存在していたのです。よって、脱着部分の規格はもちろんのことマチマチで、いわゆる今時のフェルールが装着できない、もしくは装着できたとしてもグラグラして事実上使い物にならない個体も非常に多く存在するのです。しかし、です。だからと言って「こりゃだめだ・・・」と、諦めるのはもったいないし、ちょっと早合点のしすぎですね。現状のままで使えなければ、使えるように改造すれば良いのです。どうにかすればいいんです。手を加え、それによって使えるようになったグリップこそ、唯一無二の自分だけのオリジナルとなるのです。ぜひ、改造、変造を楽しもうじゃありませんか！何も難しく考えることはありません。脳みそを軟らかく使ってやりたい様にやればいいのです。そのグリップに合わせたベストな方法を模索するのも、これまた結構面白いものですよ･･･。


オールドグリップに関してはフェルール穴のサイズは全てマチマチ。
だからといって諦めちゃいけません。どうにかしましょう！

問題なのは脱着部分の穴の大きさ。写真の通り、大きく分けるなら、脱着部分の穴が今どきのフェルール径（約９０ミリ）よりも大きい物と小さい物に分けられるのですが、とりわけ径の大きい物に関しては単純な作業でどうにかなってしまうのです。要するに空いたスペースに何か詰め物をして、埋め合わせをしてあげればいい訳ですから、適当な寸法のパイプ状の何かをアダプターとして作ってあげればいいのです。(内径約９０ミリ･外形をグリップの穴にあわせる訳です。分かります？)一方、径が小さい物に関してはより専門的な工具を使って切削し径を落とさなければいけませんし、そうすることにより強度的な問題も発生しますので限界があるでしょう。という事で、ベースになるグリップには径の大きいタイプを選んだ方がいいですね。


こんな感じに自作アダプターを作ればいいんです。
どうにかなります。どうにかしましょう！

コレで、ロッドとの脱着が可能になり使えるようになりました。しかし長年の汚れが蓄積し、コルクがボロボロじゃあ何ですから、これ等もついでに手直しすると良いでしょう。コルクに関しては長い月日を経てもろくなってしまっておりますので簡単に取り壊すことも出来、各々好みの握りを変わりに付けてあげれば良いだけのことです。またある程度しっかりとしている物であれば軽めのサンドペーパーで一皮むいてあげるのもお手軽でいいですね。一方、グリップ本体に関しては、アルミ製の物でなんの塗装もしてない物が最も都合が良く、コンパウンドやピカールなどで根気良く磨けば、まさにツルツルピカピカ！別物のように生まれ変わるでしょう。実はコレ･･･けっこう癖になってしまうのです。一度いい思いをするとハマります。ご注意を･･･。ただし、メッキや塗装が施されている物に関しては、一旦それらを剥離剤ではがさない事には始まりません。有毒ガスが出る場合もありますのでコチラはそんなにオススメできませんね。


グリップ単体ではなかなか良い物が見つからないかもしれませんが、
ロッドに着いている物も視野に入れれば素材は色々あるでしょう。
ぼろロッドも見逃すことは出来ません！

以上のようなことをトータルに考えると･･･見えてきましたね、ゴミグリップ再生に適したベースになるグリップ像が･･･。①脱着部分の穴の径は小さい物よりも大きい物を！②ボディーブランクは汚くともアルミ無垢の物を！という事になるでしょう。参考にしてください。まあ、グリップ単体では数が限られ出物が少ないですから、ぼろロッドに付いているグリップも視野に入れ探すといいでしょう。いい素材になる物はごろごろあるはずです。では、皆さんにも良いｸﾞﾘｯﾌﾟとの出会いがあることを願いながら、今回のところは、ここまで･･･とさせていただきます。