(SFN3月号掲載分)
前回紹介したとおり、ベストのチョイス&賢明な選択を仮にしたとしても、古い道具にトラブルは付き物です。形あるものいつか・・・ですから、少なくとも覚悟は必要でしょう。どうしてもそういったトラブルが心配な人は、やはりクラッシックタックルには手が出ないようですね。確かに古いパーツは手に入りずらく、もしくは存在しないのがほとんどですから、そう判断してしまうのも仕方のないことです。すごく理解できます。とはいえ、どんな道具でもいつかは必ず直面するであろうトラブル!心構えだけはしておいた方がいいでしょう。
だってそうでしょ?何百万もする車だって事故ったらオシャカですから・・・。
そりゃリールだって壊れますわ。
上から、ラングレー、サウスベンド、オーシャンシティーのパーツボックス。
それぞれ雰囲気のいいケースに色々なパーツが入っております。
ただし、このパーツボックス、入手しずらい上に1BOXウン万円とお高いのです。
個人的に買うのはチョットきついですね・・・。
さて、ルアー・ロッド(折れたのはムリ!)に関しては、代用パーツもしくは補修でなんとか使えるようにはなるでしょうが、こと、リールに関してはそうゆうわけには行かないのがほとんどです。そんな中、最も多いトラブルがパーツの欠損。特にハンドルナットやビスなどを落としてしまうケースは非常に多く見受けられます。もちろんそれぞれが最低限の注意を払い、釣行前のチェックを怠らなければ予防できることなのですが、無くしてしまったものはしょうがない・・・どうにかしないといけませんね(ちなみに自分は未だかつて一度もそういったトラブルに遭った事はありません…自慢)。さあ、そこで問題になってくるのが、ネジピッチがインチ規格になっている物がほとんどな為、そこいらで売っているセンチ規格物が合わない!という事なのです。これは厄介ですね。となると、写真のような当時多分業務用に発売されていたパーツBOXを探さないことにはどうしようもないのです。ただし、これも限りある資源!であり、全てのメーカー・機種の物を探すのは至難の業です。いやーこりゃ八方塞ですな・・・。聞くところによると、一部秋葉原なんかにはインチネジなども扱っているというコアなお店もあるようですが、まあ、困ったときには私松井のところまで御連絡いただければ出来る範囲でご相談に乗りますので声をかけてください。とりわけ、ラングレー・フルーガーなどのパーツは結構持っております。さあ、それでもウチにパーツがない・・・となればもう残された道はただ一つ、パーツ取りのジャンク品を買い求めるか、もう一台コンディションのいいものを探して、“二個イチ”で使うしかないでしょう。仮にそのリールがお気に入りの一台であったなら、そうすることもそんなに苦ではないのではないでしょうか?最後の手段としていた仕方のないことでしょう。覚悟を決めてください。
これがフルーガーのパーツボックス内。スプール、ボディーなど大型パーツを除く、
ありとあらゆるパーツがご覧の通り用意されております。
しかし、製造されている時期が異なったりすると規格が微妙に違い、
リールに合わなかったりすることもあり、現実的には救済確率は低いものとなってしまいます。
一方、パーツなどを欠損しているわけではないが、どうも調子が悪い・・・という事もあるでしょう。原因がわからないというのは、これまたタチが悪いものでして、そのまま継続して使っていると傷口を広げる事にもなりかねません。無理せず直ちに使用をやめ、ダイレクトリールをよく理解している人に相談する事をオススメします。意外とこういったトラブルというのは微妙な物が多く、ほんの些細なことが原因だったりしますので、一見して理解しがたい事が多いのです。建付けが悪いというだけのことでも不具合が発生してしまいますので、そういったケースであればリールをしっかりと組みなおすだけで良くなってしまう事もありますが、ひどい物では、スプールの軸が曲がってしまっていたり、レベルワインダーの軸(ワームシャフト)の一部が欠けていたりと、判断しずらいものがほとんどです。という事で、やるべきことはただ一つ!!いまいちどメンテナンスしなおし、組み直してみることです。その際にはパーツの一つ一つを注意深く観察し、何かおかしな点はないか見極めるのです。さいわい、ダイレクトリールその物の構造は至って単純ですから分解しても分からなくなってしまう事もないでしょう。それで、原因が分かれば、そのパーツ部位を交換すれば問題は解決するわけです。もちろんそのパーツが有れば・・・の話ですけどね・・・。
これがレベルワインダー周りの破損例。
パウル(爪)の片方が折れ、その影響でワームシャフトにまで明らかな傷がついてしまっております。
こうなると交換しないことにはもうどうにもなりませんね・・・。
以上のように、古い道具と付き合っていくのには明らかにリスクもあり、今どきの道具とはまったく違った接し方を強いられます。ただ、それを恐れるのではなく、楽しんでしまえば良いのです。実際にウチのお店に出入りしているツワモノなんかは、自分でパーツを作ってしまったり、手直ししてしまったりと、上手く道具と接し楽しんでいるようですね。私松井も、そんな人たちの声に答えるべく、どんなパーツでも作ってしまえるようなダイレクト職人を目指して成長して行くつもりです。一緒に楽しんで行こうじゃありませんか!
Good luck! まずはトラブルの無いことを願います。